活動紹介
飯舘村とむら塾の出会い

東大むら塾が飯舘村で活動を始めることになったきっかけは、飯舘村の事情をすでに知っており強い使命感に駆られたからというようなものではなく、実は偶然のご縁によるものでした。
東大むら塾が活動5年目を迎えるにあたり活動のさらなる拡大を構想していたときに、東大むら塾の顧問の教授のつてで、顧問の研究フィールドである飯舘村を訪問してみることになったのです。
今までの取り組み
そば栽培

2019年の4月から企画の構想を始め、6月が私たちの最初の訪問でした。
人も車もほぼいなかったこと、広大な土地にまだ大量の除染後の土が積み重ねられていたことなどに大きな衝撃を受けましたが、正直その段階ではまだ飯舘村に対して強い興味を持っていませんでした。
しかし、これもまた飯舘村にきた時と同じようになりゆきで初回訪問時に蕎麦の栽培にチャレンジすることが決定しました。
当初の私たちは自分たちに決定権がないことに対し若干の不満さえ持っていましたが、結果としてこの最初の蕎麦栽培が東大むら塾の飯舘村での活動における大きな転機となりました。
2019年の8月に蕎麦を播き、10月に収穫・脱穀を行いました。
「までい」なやり方にこだわり、手植え・手刈り・手作業での脱穀を行いましたが、非常に大型の台風19号により収穫、脱穀の予定が大きく崩れてしまいました。
よって、10月は土日・平日を問わず毎週訪問するという事態になりました。
しかし、この蕎麦づくりを通して土地を貸していただいた農家さんからじっくりと様々なお話を伺うことができ次第に飯舘村への興味が増していきました。

そばを用いた地元の方との交流

厳重な放射線検査を無事に通過した蕎麦をついに食べるときがやってきました。
地元の方に手ほどきを受けながら自ら打ち、10回近くの訪問を重ねて育ててきた蕎麦の味はまさに格別でした。
さらに、この蕎麦を用いた交流会を村の農業委員会さんと共催しました。自分たちの育てた蕎麦を村の方々に振る舞うとともに、11月までの半年間で自分たちが行った活動、感じたことなどを村のみなさんに報告しました。
住民の方からのヒアリング、その発信

そこで、飯舘村に帰村して活動されている住民の方は現在どのような暮らしをされているのか、飯舘村の現状についてどのように思っているのかなどを肌で感じるため、ヒアリングをすることにしました。
また、同じような目的を共有していたため、このインタビュー活動は地元の福島大学の学生さんとも共同で行いました。
帰村された住民同士のつながりが希薄となっている、という現状を少しでも好転させ、むらを活気づけようと、どの地区の誰が現在どんな想いでどのような生活をしているのかをわかりやすくまとめた冊子「いいたてむらびとずかん」 を作成しました。

コロナに負けず、一歩一歩

2020年度の前半は、コロナの影響で飯舘村への訪問を中断せざるを得なくなりました。
6月には、新入生を交えて村内の方のお話を伺う会をオンラインで開催しました。訪問を再開できたのは、9月に入ってからです。村の未来を考えるワークショップや、稲刈り体験にも参加しました。
また、11月には、村内のイベントで「いいたてむらびとずかん」を配布させていただきました。
感染の再拡大により訪問は再び中断し、11月末から現在まで、訪問できない状況が続いています。
状況が落ち着いて訪問できるようになったらすぐに動き出せるよう、「いいたて村の道の駅 までい館」の花壇を整備するプロジェクトをはじめとして、様々な準備を進めております。

これからの活動
・より深いかかわりを
そば栽培や住民の方へのヒアリングを継続し、自分たち自身がより深く飯舘村について知るとともに、その過程で見えてきた村民のみなさんの困っていることの解決や期待していることの実現につながるような試みをまずは実行し、その後反省し次の試みにつなげていくという流れを作っていきます。
・考え、実践する活動を
東大むら塾は現地に足を運び課題を肌で感じることに徹底的にこだわります。そしてそれだけでなく、大学や書籍、講演会などで得られた知識や最新の技術を現地で活用したいと考えています。理論の吸収と現場での実践という両方向の活動を充実させていきます。
・地域を越えた連携を
6年間活動してきた千葉県富津市の相川・梨沢地区で学んだことを飯舘村での活動に活かし、飯舘村という新たな地域に入ったことで得たある種新鮮な観点を相川地区での活動に生かすというように、相互に良い影響を与え合うことを目指しています。